検査屋📷 ③
ある晴れた午後、そのご家族は来院した。
きっちりとスーツを着た中年の男性と、その妻であろうこちらも中年の女性
それに年輩の男性の三人で来院された。
年輩の男性は軽度の認知症を患っているらしく
そのご家族が 年輩男性の世話をしているらしい。
妻の話では、最近元気がないし 認知症が進んできたのではないかと心配になり来院されたのだった。
認知症とは、脳の海馬といわれる所が萎縮し起こる場合など様々な理由で起こる病気だ。
やっかいなのは、進行してくると断片的に記憶が欠落したり 最終的には自分や家族が
誰かも分からなくなってしまう。
診察を終えた年輩の男性は、認知症の進行具合と脳内病変の確認のため
主治医よりMRI検査の依頼がでた。
放射線科に 年輩男性とご家族がこられ
詳しい様子を聞く
『今日は頭の検査をさせて頂きますね❗宜しくお願いします。最近は症状などどうですか?』
担当技師が挨拶をする。
中年男性の妻は会釈をすると
【宜しくお願いします。一週間ぐらい前から
少し元気がないのか ぼーっとしていること
が多いような気がします。少し心配で…。】
すると中年男性が直ぐに
《考えすぎだろ。親父は認知症なんだから そんなもんだろ。》
とめんどくさそうに答える。
担当技師は、年輩男性を検査の寝台に乗せるため介助をしながら
『こちらのベットに寝て検査しますね。ベットまで歩けますか?』
と年輩男性を誘導する。
⁉
何故か、検査台まで誘導する間に 少し右側に
ズレて歩いてくる。
少し何かを考え始める技師の姿があった。