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やんわり放射線の日記

皆様、はじめまして❗やんわり生きたい放射線です(^^)人生 やんわり生きるのが目標です。宜しくお願いします❗

検査屋📷 ⑤

検査屋📷 ⑤

 
診療所では、だいたい午前診療と夕方診療を
行っていることが多い。
 
 
 
夕方診療の時間は、会社帰りや
 
学校終わりの方々がよく来院される。
 
 
 
 

ある夕方診療での話だ。

 
 
 
その日は、雨が降っており 患者の数も
比較的少なかった。

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まだ、若い感じの お子様連れのお母さんが
腰痛のために来院された。
 
 
お子様は、まだ幼稚園に入る前ぐらいの
年齢だろうか。
 
 

まだ《ママ~、ママ~。》

 
 
と、言葉を覚えて
少し片言で 話始めた感じであった。
 
 
お子様の検査ならば、お母さんか お父さんに
検査室に入って頂き
 
 
お子様に不安がないように検査を進める
 
 
しかし、親御さんが検査の場合
 
 
一般的には、クリニックのスタッフにお子様を
観ていて頂いて その間に検査を進める。
 
 
私も一般的な方法で検査を進めようと 
提案した。
 

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『では、腰の検査を始めますので お子様は
当院スタッフが観させて頂きますね。』
 
 
 
 
すると、お母さんが
【えっ!?子供も近くにいてはダメですか?】
 
 
 
 
予想外の答えに少しビックリしてしまう。
 
 
 
 
『検査室内は、被曝の事もあり 一緒の部屋に
 入れないんですよ。
 
 どうしても、お子様が近くいた方が
 いいのですか?』
 
 
 
 
【たぶん、私がいないと 
 泣いてしまうので…。
 
 どうしても、ダメですか?】
 
 
 
 
『う~ん、そうですね~。』
 
 
 
 
少し悩みながら、別の提案を考えた。
 
 
 
 
『では、検査を始めましたら 
 お子様を操作室内で観ますね。
 
 それならお母さんの姿も 
 お子様から見えますので安心です。』
 

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こう提案させて頂き
 
検査を進める事を了承して頂いた。
 
 
 
 
『では、お母さん 
 寝たままで検査していきますね。
 
 まずは、検査台に寝て下さい。』
 
 
 
 
お母さんを、検査用のベッド台に寝かし
検査を始めていく。
 
 

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お子様は、お母さんが
 
変な部屋で寝かされているのを見て
 
不安で泣き出しそうになっていた。
 
 
 
仕方なく、検査終わりに 
 
 
検査画像を確認している間 
 

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お母さんに了承を得て
 
 
お子様を[抱っこ]していた時だった。
 
 

《パパ~? パパ~?》

 
 
と、お子様が話始めた。
 
 
私は、〔抱っこ〕をしたので 
お子様がパパと間違えてしまったのだと思い
 
 
 
笑顔でお子様を 〔抱っこ〕したまま
検査画像の確認を終えた。
 
 
『お母さん、検査お疲れ様でした。
 
 
 これで終わりますね。
 
 
 お子様も、大丈夫ですよ。』
 
 
 
 
私が検査の終わりを告げた時だった
 
 
 
 
 

( ̄□ ̄;)!!?

 
 
 
 
 
何故か、お母さんが 悲しそうな顔をしていた…。
 
 
 
 
私は、お子様を〔抱っこ〕したのがマズかった
のかと思い あわてて謝罪する事にした
 
 
 
『お母さん、すみません。
 
 お子様が、泣き出しそうだったので
 
 〔抱っこ〕をさせて頂いたのですが
 
 やはり、マズかったですよね?
 
 申し訳ありませんでした。』
 
 
 
一時、沈黙が流れた後 お母さんが口を開いた。
 
 
 
【いえ、こちらこそ子供の面倒を見て頂き
 
 ありがとうございました。
 
 
 子供が パパと言っていた事が
 
 悲しくなってしまいまして…。
 
 検査ありがとうございました。】
 
 
 
 

『????』

 
 
 
 
【実は、最近 夫が事故で 
 
 亡くなってしまったんです。
 
 まだ、子供は小さくて
 
 理解していないようでして。
 
 夫はよく、仕事帰りに 
 
 〔抱っこ〕をするのが習慣だったので
 
 この子は、勘違いしたのでしょう…。】
 
 
 
 
少し、涙目を浮かべながら お母さんは訳を説明してくれた。
 
 
 
 
 
 
診察待ち合い室には まだ数人
 
 
診察待ちの方々がいたので
 
 
 
気持ちが少し落ち着くまで 検査室内で
 
 
お子様と休んで頂き 
 
 
お母さんと、お子様は 検査室を後にした。
 
 
 
最後に、お母さんは
 
 
 
【ほんとうに、ありがとうございました。】
 
 
 
とだけ告げて。
 
 
 
 
 
お子様を〔抱っこ〕しながら、お母さんが
 
 
検査室を出ていく時 お子様が言っていた
 
 

《パパ~? パパ~?》

 
 
 
と言う
 
 
 
言葉が悲しく、検査室内に響いていた…。
 
 
 
 
雨の日の出来事であった。
 

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