検査屋📷 ④
検査屋📷 ④
年輩男性のMRI検査が始まる。
頭部に検査用のコイルをかぶせる。
年輩男性は、不安そうな顔をしている。
そんな顔をみて、技師から優しく検査説明がある。
『今から検査を始めますね。痛みなどはないので安心して下さい。
検査中は動かないようにして下さいね。
後、大きな音がしますが驚かないで下さいね。』
不安そうな顔のまま 年輩男性はMRI装置の中に入っていく。
ガーガーガー、コトコトコト
検査装置から地鳴りのような音が聞こえてくる。
頭の見たい部位に、高い磁場をかけ写真を作る。
その時、磁場の力が強すぎるため装置内がきしむ音だ。
約3分前後 この音が続き写真📷が作成されていく。
まずは頭部の下の部分から見ていく。
次に上の断面に移動して見ていく。
すると…。
あっ⁉
技師の手が止まる。
やはり という表情で検査を進めていく。
技師は撮影台に、年輩男性を誘導した時に
右側に傾いて歩いて来たのを思い出していた。
左側頭頭部内に血腫があるため 右側の四肢に症状が現れ少し傾いていたのだ。
脳の神経は 頭と首の境目で左右が反転する。
そのため、左の脳が障害を受けると右側に症状があらわれるのだ。
技師は、検査が中盤を過ぎる頃 主治医に連絡をとった。
『先生、まだ検査中ですが 左側頭部内に血腫らしきモノがあります❗確認 お願いします。』
すると主治医は
【やっぱりあったか。実は、左の頭部に 少し前に打撲したらしき後があったんだよ。
患者さんは、認知症もあるし 何かの拍子にぶつけてしまい その事を忘れてしまったんだろう。】
その後、検査が終わり年輩男性は
脳内血腫を取り除くため手術となった。
中年女性の奥さんが感じた感覚は間違いでは
なかったのだ。
いつも見ているからこそ分かる
やはり、家族や身近な友達など 親しい人の意見は正しいことが多いのである。
その後、あの年輩男性は後遺症もなく無事に
退院した。
認知症はあるものの 健やかな日々を送って頂きたいものだ。